山が待っている。

「流産」という山から、わが子を腕に抱いて下山できました。どんな山も無事に下山できるように。ひとつひとつをクリアする過程を書いていきます。

完全ミルクにしたいのに、母乳を諦められなかった。

結局、ずっと悶々とした暗い気持ちを抱えて過ごした混合授乳は、生後6ヶ月まで続きました。

 

涙が出るほど痛くて辛かったのに母乳をやめられなかったのは、完全に私の吹っ切れない気持ちからでした。

母乳をやめることによる胸のトラブルも気がかりだったし、頭ではそんなことないと思おうとしても母乳で育児できない私は母親として努力が足りないような悔しさがつきまといました。特に後者は、何度割りきろうと思っても気持ちが後戻りしてしまう、複雑な感情でした。

 

一方、母乳育児でないと愛情が不足する、とか、体が弱くなる(免疫が不足する)、という話もありますが、それはあまり気になりませんでした。

愛情に関しては、私の場合ミルクの方が自分に余裕ができて、息子の顔をゆっくり見ながら授乳ができました。授乳タイムの愛しい気持ちも、ミルクのときの方が大きかったと思います。

免疫力についても、私自身、まわりにも「いつも元気そうだよね」と言われる健康優良児でここまできましたが、赤ちゃんの頃は8割ミルクで育ててもらいました。兄弟も同様で、こちらは自分が証明している分、なんの心配もありませんでした。

どちらも、そんなことない。

 

そう、だから、私が吹っ切らなければいけなかったのは「母親としてもっと頑張れるのではないか、頑張らなければいけないのではないか」という、その思いだけ。何度も「これでいいのだ」と思ってみても、どうしても「達成する前に諦めたのだ」というネガティブな感情に支配されて踏み出せなかったのです。

 

夫は一生懸命理解しようと、堂々巡りの私の話を何度も聴いてくれました。そして、私の気持ちを尊重しつつも、さらりと「ミルクにしていいと思うよ」と言うのでした。今の私なら、同じことをあの頃の私に言うでしょう。そして、あの頃の私も、頭では「そうだよね」と分かっていました。

でも。

追いつかなかったのが気持ちの方で、どうしてもどうしても、やめようと思っても、あと一回試してみよう。と、暗い気持ちで息子を抱き上げていました。

 

今考えると自己満足の世界に取り込まれていたのかな。

でも、あの頃は他のことに不安がなかっただけに、それがすべてのような気がしていたのです。