山が待っている。

「流産」という山から、わが子を腕に抱いて下山できました。どんな山も無事に下山できるように。ひとつひとつをクリアする過程を書いていきます。

出産の記録3 出産のとき

痛みの谷間を狙って分娩台へ案内される。

手術室ってこんな感じかぁ(手術室は別にありました)と思いながら、言われるがままに分娩台へ。

いよいよだと気合が入る。

どういうタイミングでいきめば良いか、どういう時は力を抜くのか、夫はどういう風に介助すればよいのか、一通りの説明を受ける。

安静中のベッドの上で何度もテキストを見返しながら、呼吸法などをイメトレしたつもりだったけれど、私の場合は初産ということもあってか、実践するまでは結局よくイメージできていなかったなと感じました。

 

説明の間も痛みの波はやってくる。身体を斜めによじっていると楽な気がして、そんな体勢をとっていたら、助産師さんから「赤ちゃんが出てきやすいように体はまっすぐにしてね。早く生まれてくる子だから、なるべくいきむ回数も少なく、負担がかからないように出してあげましょう!」と声をかけられる。

この言葉に強く励まされた。

辛いと思ったら赤ちゃんが一番大変なんだと考えようと準備していたのが、より強い気持ちとして固まった。

赤ちゃんをなるべく苦しませないように産む!

その気持ちで臨むと決心。

 

いよいよ、いきんでオーケーの合図が出る。

 

一回目。

あんなにいきみたい!と思っていたのに、いまいち力の入れ方がわからない。

そこで、助産師さんからのアドバイスは「ひどい便秘の時に力むイメージで!」。

なるほど!それなら分かる!

 

二回目。

便秘の時のイメージ。「そうそう!上手上手!」と褒めてもらって、分かった!と思うも、目をつぶっていたので、目を開けていきむようにアドバイスを受ける。

夫が、私がいきむタイミングで肩を持ち上げてくれる。へその辺りを見て力入れるので、とってもありがたかった。

「この辺りを見て!」とへその上のあたりに拳を見せてくれる看護師さんの助けも。

 

三回目以降は、「(痛みが)きた!いきます!」などと言いながら、何回かいきんだ。

 

痛みの合間には夫からストローで水をもらいつつ、「飲みすぎて一緒にしちゃったらやだな。飲みすぎないようにしよう…」などと考える余裕もあった。

実際は導尿してもらっていたので、心配いらなかったけれど。

 

外子宮口は開くのが早かったものの、内子宮口はもう一歩ということで、先生に会陰切開をしてもらうことに。麻酔もしてもらったし、特に痛みは感じませんでした。

 

そして何度かいきむと、「次で頭出るよ!ちょっと長めにいきんでね!」との声かけが。

渾身の力を込めて長くいきめるかぎりいきむと、「頭でたよー!」。

その時の助産師さんの言葉。「ん!?なんか大きい!大きいよ!2300gじゃないかも!」

でも、頭が出た時にはあまり感覚がなく、そのあとの身体が出る時は、デコボコしたものが出ていく感覚があった。そっちは忘れられない感覚。

最後の数回は、いきみすぎて痔になるんじゃないかと思って「お尻が痛いです!」って叫びました(笑)

助産師さんには「やめちゃだめ!最後だからそのままいきんで!!」と言われ、結局いきみきったけれど。

 

夢か現実か、よくわからない感覚のまま、息子を看護師さんが顔のところへ連れてきてくれました。

胎脂がたくさんついた生まれたての赤ちゃん。

「がんばったねぇ」と声をかけたのを覚えています。

しっかり泣き声も聞かせてくれて、元気に出てきてくれました。

 

結局2720gまで大きくなっていた息子に、助産師さんたちと「大きいしあっという間すぎて、エイプリルフールのようだね(笑)」と笑いあいました。

 

結局、陣痛室に入ってからは1時間少しで出産したと思います。

夫が来てからは30分ほど。間に合ってよかった。

 

その後、お互いの両親に連絡をして、2時間、夫と分娩室で3人で過ごしました。

たわいもない話をしながら。

 幸せな時間でした。