山が待っている。

「流産」という山から、わが子を腕に抱いて下山できました。どんな山も無事に下山できるように。ひとつひとつをクリアする過程を書いていきます。

29w2d 忘れてはいけない大切なこと

かなり長い間、更新できていませんでしたが、今日はとても大切なことに気づけたので、またこれをきっかけに出産までの日々を振り返ったり書き残したりしていけたら、と思っています。

 

今日は『本日は、お日柄もよく』という原田マハさんの本を読んでいました。スピーチの原稿草案をつくるスピーチライターという仕事について書かれた小説で、一気に読みきりました。

ちょうど文庫化されて、WOWOWでもドラマ化とのことなので、読んだ方も多いかな?これから読もうと思っている方は、少しだけネタバレがあるので、お気をつけください。

 

 

 

スピーチの話なので、素敵な言葉がたくさん出てくる小説です。もともと言葉は大切なものだと思っているので、胸打たれるものも多く、何回か泣きました。

でも、泣いて泣いて読み進められなかったのは、登場人物が流産をした場面。五ヶ月で病院をたらい回しにされて、という流れでした。

詳しい描写はないものの、出血という文字にドキッとし、そのまま自分の過去と重ね合わせるかのように読み進めました。

涙が止まらない状態で、急に流産した時のことが思い出され、産んであげられなかった子どものことが愛おしくなり、携帯の写真を開きました。ちょこんとお椀に入っている写真。この子を失った悲しみが、どんなものであったかを思い出しました。

と、同時に。今のお腹の子の性別がわかった時、「どちらでも元気に生まれてきてくれれば、それでいい」と100%思えていなかった自分を恥ずかしく思いました。

いつの間にか、あの時の気持ちを忘れて鈍感になっていたと。

「ごめんね。元気に産まれてきてね。」と涙を流しながらお腹に話しかけました。気持ちが揺るがぬよう、決心の気持ちも込めて。

もう迷わずに、ひたすら愛しい子と会える日を楽しみに過ごします。

今、この本に出会えたことに感謝します。

 

そして、今、辛い毎日の真っ只中にいる人の支えになるかもしれない言葉をひとつ見つけました。

「困難に向かい合ったとき、もうだめだ、と思ったとき、想像してみるといい。三時間後の君、涙がとまっている。二十四時間後の君、涙は乾いている。二日後の君、顔を上げている。三日後の君、歩き出している。…とまらない涙はない。乾かない涙もない。顔は下ばかり向いているわけにもいかない。歩き出すために足があるんだよ。」

 

原田マハさん、『楽園のカンバス』で素晴らしいと思いましたが、この本も前向きなパワーをくれる素敵な本です。